寄せられる相談・代理店になるしかない
二代目社長になり、全国津々浦々で今まで「暗黙の了解」で行われていた拠点毎の収入や裏金などが「不正」として指摘され始め、次々と古い社員が辞めていった。売り上げはそれに比例して下がってもいた。会社自体は銀行から融資を受けなければ回らない状況に陥っていた。
長年勤めてきた後輩などから「この体制では不正とされ辞めざるを得ない」「あなたがリーダーとして会社から独立してくれ」という相談と要望が相次いでいた。自分自身も会社内では本社の事務方のイエスマン達からも煙たがれており、目の上のたんこぶとして孤立もしていた。
新社長の方針もやはり私にとっては「素人考えの施策」でしかなかった。ケタ違いの売り上げを出して、会社に唯一黒字を出して貢献した事で二代目社長としても扱いにくい役員となっていた。
「全国的に総代理店化すれば本社はかならず利益は出るし、結果出せる拠点が統廃合されていけばよい」「さらに力のあるFCとして成長できる」という意見をぶつかていたが、利益の出どころである私の拠点を手放す事は毛頭考えになかったようだった。(しかし私が退社して5年後にはその私が育ててきた拠点も撤退となる)
エリア単位で独立を考える
エリア内での私の部下の社員とも何度も相談してきた。皆想いは一緒だった。しかし私の中では常に自分と仕事を共にしている拠点内での社員以外にはいくら管轄エリアの店舗の社員でも、それまでやってきていたプール金やオプションの収入については話していなかった。やはり自分で入社させ、教育研修してきた人間以外は不安だったからである。
しかし会社の状況が悪化していくでエリア内の社員から相談を受けた。やはり同じく「今まで勤務してきても一円も給与は上がらないし、賞与もない。どうやら辞めていった人にも退職金が支払われていない状況と聞く。どうすればいいか」・・私は自分の拠点で独自で行っている事を伝えた。彼も「どうにかしたいと思っていた」という事で、オプション部分の収入を作るように動き始めた。
そんな中、その彼に別エリアでエリア長になってはどうか、という移動の話が社長から入った。彼はそれまで先代社長の犬として言われるがままあちこち転々と飛ばされてきた。「せっかくここで成長できてきたのに移動はしなくない」との事で二代目社長からの申し出を断る、という結論になった。そうなれば退社を念頭に置かなければならない。
私の管轄するエリアとしてどうするか、部下とも相談しながら出てきたのは・・会社内で代理店としてできないのなら、別会社を自分たちで作るしかない・・という結論に達した。
異動を断った部下が代表として新会社を設立して、そこを少しづつ大きくしていっていずれ皆が移れるように準備しよう。というものだった。その部下には私が拠点で蓄えてきた金額の中から退職金替わりのものを出した。「いずれの日の準備として」使わずにプールしてきた金額があったので、その金額を新会社の資金に充てればいい、と考えた。