留置場と刑務所の違い
いわゆる牢屋と言われる金網の中の小部屋に入れられた。「留置場」と言われるもので警察署の中にある。取り調べ室等とも連結していて、そこまでには何重もの鍵の扉があり警備も厳重だ。これで起訴となり、実刑を受けて禁固となると「刑務所」という所にいくらしい。この留置場にいる間、調書をとったり裁判に出かけたりしていく感じで、弁護士さんとの面会等の部屋もある。外部への連絡は弁護士さんを通じて伝える事ができた。差し入れもチェックが通るものはOKだった。
意外と快適、留置場生活
私が入れられたのは警察署自体が新しく、中もきれいだった。まずは4畳程の一人部屋に入れられた。簡易的な畳敷きであって空調も効いていた。トイレが備え付けられていてそこの手洗い水が飲料用の水でもあった。
朝は6:00に電気が付き起床、その後布団を片付けホウキで部屋を掃く、洗面所で洗顔と歯磨きをする、すぐ朝飯が運ばれて来る、受け取りは牢屋の30センチ四方程度の小窓がありそこから受け取り、朝はパン昼や夜はおそらく委託している業者からの弁当だった、汁物は一切なく食事の時だけ部屋で使用している紙コップにお湯を入れてもらった。全て冷めているが味は不味くはなかった。時々得体の知れない肉の様なものが入っていた。昼休み的に12:00から13:00はラジオがかすかに流れていた。小説や漫画本や新聞はリストがあり数冊を一日読めた。預かている財布に所持金があればそこから清算というカタチで夕食を別メニューから選んで焼肉丼やカツカレーなども頼むこともできた。消灯は20:30だった。
二日おき午前中に「体操」という名で署の屋上の様な場所で囚人たちが集まり髭剃りと爪切りをした。そこでは簡単な囚人同士の会話は可能だった。時期的に外風が寒かったが気分転換にはなった。週2ほどで入浴の日があった。風呂が二つありサイズにより小さい時には一人で、大きいサイズの風呂では二人で利用した。ドライヤーは無いので自然と乾くのを待つしかなかった。長髪には厳しいだろうと思った。希望すれば散髪(5000円ほど)も利用できるらしいが基本丸刈りにするらしい。週末にはこれも別清算でコンビニでの商品(菓子や週刊誌、漫画本)をリストから頼む事もできた。熟練の囚人などはいろいろお菓子を買っていておやつの時間にいい音をさせて食べていた。
取り調べや弁護士などの面会が昼間あれば取調室へ行き、裁判所や検察管との取り調べで検察へ行く、それ以外はただ狭い部屋で過ごす。
牢屋から移動するたびに厳重に手錠をかけられ後ろから縄をつながれて連行された。そのたびに犯罪者になったのだと痛感させられた。
一日が長い
最初の2,3日は刑事の取り調べや検察にいったり(これが遠かったので車で移送させられた)で慌ただしく過ごした。限られた範囲の部屋での生活かので体が動きたくなる。他の部屋でもずっと部屋の中をグルグル回っている人も見たが、確かに意味もなく歩いたりエアでの野球の投球をする等していた。とにかく昼間も寝る様にしたが、全体的にうっすら寒いので熟睡には至らなかった。隣の部屋にいたのはまだ若い人で向こうから気さくに話しかけてくれた「自分は薬で捕まったのだけど、何やったんですか?」と自分としても明確に何をして捕まったかというのを話すと長くなるので簡単に対応しておいた。
刑事との調書作成の日々
最初の数日は基本的に担当刑事(班長)との取り調べだった。それまで入念に調べている事で私がそれを認めさせる様な確認作業だったと思う。私もうかつに返答はしまい、と納得できない事には否定をした。そのたびに語気を多少強めて対応してきたが、基本的には紳士的に対応をしてくれた。以前の部下たちや関りがあった人にも聞き込みをしていた様子で「その人まで調べたのか」という程いろんな人から調書をとっていた。調書を作成するにも手書きで作る様で、意外と達筆な事に感心しながら、長い時間この調書作成に時間を割いていた。弁護士さんからも「友好的に対応していてほしい」とも言われていたので特段拒否や黙秘などはしなかった。
シナリオとして
当然刑事は今までの捜査から一連の流れを把握していて動機含め、シナリオを持っていてそれに近づける様に取り調べをし調書を作っていった。
一連の流れとして・・会社の顧客に直接連絡をして、契約書でうたっている月謝以外のオプションの授業や模試の実施などで収入を得て、それを自分の口座に入れてプールしていた。このやり方を私が別拠点でやっていた所長に教えて実践させた。その金を私の口座に入れていた。その中の一部の金を引き出し私用に使ったりした。これは会社法違反にあたり当時取締役でもあった私は背任にもなり罰せられるべき、という流れだった。
明確につける点は47万・・あとはグレー
刑事が私に言った「正直、ここに至るまでに3年も時間がかかったのは基本的に私自身が自分の拠点でやっていたことを立証するのは難しく事件化するのもグレーだった。ただ唯一部下がやっていた内容でデータでの記録が残っていて複数あった不正入金の中で470,000円は立証できるものがあった。会社からの強い意向もあり、唯一つけるその点で私と部下を逮捕し立件したいという事だった。
同時に今までの先代時代からの運営の仕方や、なぜそのような行動をとったのかという動機についても刑事たちはわかってもいた様子で終始同情的な言葉はかけてくれた。
「元凶は先代社長だと思う、しかも他の先輩たちも不正をしてておとがめ無かったから、なぜ自分ばかりと思ってるかも知れないがやった事は事実」